きょうの侘助

母さんの皮をぬいだわたしの日常

迷惑な人

役員仲間にものすごく迷惑な人がいる。子供同士がとても仲よしで、その流れで親同士も親しくなった、いわゆるママ友ってやつだ。友達づきあいめんどくさーいと思ってるわたしだけど、一応地域に暮らしている住民としては子供がお世話になっているお家の人とつきあわないわけにはいかないから。ほどよい距離感をキープしつつ、これからも細く長くつきあっていくんだろうなぁって思ってた。でも、ちょっと無理かもしれない。

役員を一緒にやるようになって数ヶ月、ことあるごとに彼女に対する不信感がつのるばかりなのだ。

ちなみに彼女の役職は副会長。もともとは前任の方から「一番古くからこのチームに在籍していて色々わかっているだろうから」という理由で次期会長のご指名を受けていたのは彼女のほうだった。それに困った彼女は、もともと広報を希望していたわたしに「どうしよう!わたしは絶対無理!できない!」と泣きついてきた。

もちろんわたしが結果的に会長を引き受けることになったのは、彼女が泣きついてきたからではない。そんなにお人好しじゃない。でも、多少期待していたことは素直に認める。親身になって手助けしてくれるんじゃないか、と思ってた。そうです、わたしは甘ちゃんです!

蓋をあけてみればすっとこどっこいだよ。わたしの前で「ああ〜副会長は楽(笑)」と言ったり、「そんなに役員仕事のことばっかり考えてられないよ〜」と平気で締め切りをブッチしたり、「LINE?あまりにも多すぎるからいつも流し読みしちゃってる」とリアルテヘペロしたり。手助けどころか、役員全体の足をひっぱる人だった。

最初は気づかなかった他の役員さんたちも、じわりじわりと彼女の仕事しなさぶり(できなさぶり)に気づき始めた。放っておいても仕事がたまる一方なので、見るに見かねて彼女の仕事を手伝う人や、代わりにやってくれる人が出てきた。そうなると彼女も居心地が悪くなって仕事をするようになるかと思いきや、まったくそんなことはなく。いつものように締め切りを忘れたり、チーム全体に関わる大きなミスを犯したり、相変わらずなのだ。

ここまでくると、わたしの中で一種のあきらめが生まれる。いないと思おう。ピッチの中はひとり少ない状況と考えれば、まだなんとかやっていける。ところが、それをも打ち砕くのが彼女のすごさ。自分のやるべきことをいろんな人に手伝ってもらって、肩代わりしてもらっている状況なのに、「わたしラッピングやりた〜い!」と言いだした。夏のイベントで子供たちに配る景品のラッピングをやりたいと。これはわたしともうひとりの役員さんが景品の選定からラッピング方法まで、何度も試行錯誤を重ねてすすめてきたもの。すべての準備が整い、ようやくラッピングというところまでこぎつけたところに、ガツガツと入ってきて「わたしこういう内職みたいな作業大好き〜♡ こういう仕事なら喜んでする〜」と言われたわたしは、黙るしかなかった。なぜなら口をひらけば罵詈雑言しか出てこないと思ったから。

自分に割り当てられている仕事は放っておいて、自分のやりたいことだけやる。うん、もうしょうがない。それでもいい。そうしかできないなら、しょうがない。

口を閉ざしたまま「しょうがない、しょうがない」と自分に言って聞かせた。そんなわたしを尻目に、彼女はサッカーに関すること、役員仕事に関することについて、好き放題ぺらぺらぺらぺらしゃべりまくった。自分はなにもしないのに、偉そうな口ぶりで。

そして「仕事してるとLINEの返事すぐにできないのよ〜。そういう人多いと思うよ〜みんな暇じゃないから」と言われた瞬間、糸が切れた。我慢して我慢して、ぐっと歯を食いしばっていたけどダメだった。「暇じゃない」っていう言葉に我慢ができなかった。

「仕事をしてるのはあなただけじゃない。役員全体に意見を求めているときには必ず返事をしてほしい。わたしはこれまで1度も『すぐに返事をして』と言ったことはない。すぐに返事ができないからしないというのは困るからやめてほしい。それに他の人は遅くなっても返事をくれてるよ」と怒りをぐいぐいおさえながら言った。彼女は「そりゃそうかもしれないけどできないときだってある」とモゴモゴ言っていたけれど、はっきりと言い返してはこなかった。

その後とりとめもない話をしてその日はお開きとなった。実はまだあれ以来顔をあわせていない。もちろんLINEでのやりとりでは、お互いにいたって普通だ。これからも子供のつきあいが続くかぎり、のらりくらりとかわしながらつきあっていくんだろうと思う。表面上は何も変わらなくても、わたしの彼女を見る目はずいぶん変わった。痛い目にあう前に(もう十分あっているけど)気づけたことは、役員をやってよかった数少ないことの1つかなと思う。